江戸小紋はもともと江戸時代に出来たものです。
発祥は武士の第一礼装である裃に用いられた柄だといわれます。
当時、贅沢と華美な装いを禁じた奢侈禁止令により、着物の布地や染め色まで幕府から指定されていたので、大名は色や柄のついた着物を着ることができず、一見無地に見える細かな柄を施し、その柄を独自に考案することで各藩の差別化をしました。
このため、江戸小紋は単彩ながら柄の数は豊富で、それぞれの柄に、様々な意味が込められています。江戸小紋でも格上とされる「鮫(さめ)」「角通し(かくどおし・かくとおし)」「行儀(ぎょうぎ)」は、三役と呼ばれる基本柄です。
「鮫」は徳川8代将軍吉宗の生家の紀州家が用いた柄で、扇形の模様を斜めに組み合わせ、鮫の肌に見立てている。江戸小紋で最もよく知られる代表柄です。
「角通し」は、小さな点を縦横に整然と並べ、縦にも横にも筋を通すという意味があります。
「行儀」は角通しに似ているが、点の並べ方が斜めになっています。お辞儀をする時、斜めに体を曲げることに由来しています。
「万筋(まんすじ)」と呼ばれる縞柄は、一寸(約3センチ)の幅に何本の縞を入れられるかという、縞の細かさでランク分けされている。20本以上の縞があるものは「毛万筋」と呼ばれ、最上級の極毛万筋ならば、26本も縞が入っています。
着方は、江戸小紋の着物は紋の有無、合わせる帯により格を決められ、それによって用途が異なります。格のある地紋や地の柄が細かなものなら3つ紋をつけ、袋帯を合わせると準礼装に、1つ紋をつけ、袋帯をすると略礼装、紋をつけず名古屋帯をすると外出着・カジュアル的な着物になります。
地色を藍、ねずみ色、緑、水色、紫などにし1つ紋を入れておくと、慶弔両用に使えるので、半喪服として法事などにも着用できます。
喪の用途も考える場合は、地色・柄にはおめでたい柄は避けましょう。
この項目の関連:
洗える着物 万筋 反物
洗える着物/羽織(角通し)
着物の種類と用途-小紋/こもん